今日は上手くいく自信がある。
おやつを削ってまでいつもあいつの所にかよってんのに、いつのまにかおやつばかり消えて手には折り紙のカエルだ。
「ちきしょー…」むすむすと歩く手に、力がはいる。
あいつは木の下で寝ていた。近寄ってあいつのそばにあるお目当てに手を伸ばすと、目を開けた。
「何、」
「なんでもないゾ…まああれだ、今日こそソレ、もらうゾ!」
「だーかーらーあげないって。何回いってんのさ」
そういいながら不機嫌そうに起きあがって、ポケットから折り紙のカエルを取り出した。
「これあげるから」「うううっ…!」
うっかり手を出しそうになり、歯をむき出して目をつむる。
あいつは笑いながら手の中でカエルを転がしながら、「ほれほれ、これあげるから諦めな」
「馬鹿いえ!毎回おいらがこんな…こんな…うー!ちきしょー!」
我慢できずにあいつの手から折り紙のカエルをとって地面で跳ねさせた。
「…で?」おいらの指から逃げるようにぴょんぴょんはねるカエルを見ながらあいつが手を出した。
「んだよー」「菓子」「てっめえおいらが来たら菓子もくるって味しめやがって…」
そういいながら袖からでかい箱を取り出した。
「ふっふーんおい仲間!今回こそてめえのカエルをいただくからな、これと交換しやがれ!」「なになに、お菓子?」
「おおっ、うまそうな…なんだ?」あいつは、箱の中をあけて茶色のカエルをとりだしてちょっとなめた。
「へへん、チョコレイトだ、カエルのな、おいらとてめえにぴったりじゃねえか、なあ?」
「…まあ、チョコ…好きだしなあ、ありがと」
おいらはちょっとそりあがって、礼にはおよばねえと笑う。
「んじゃ、カエルよこせ」 「やだ」
「ああん、んだと、てんめえこれつくんのどんだけかかってるとおもっ…」
思いっきりののしってやろうと思っていたのに、あいつが出した物をみると声が出なくなった。「それ…!」
「キーホルダーだけど、ガチャガチャの。やるよ」それは紛れもないカエルのキーホルダーだった。
なんだかんだいって、結局今日もあいつはあのぬいぐるみをくれなかった。
「あのタコめ、こんなちゃっちいぬいぐるみでおいらが諦めると思うなよ」そういいながら帯締めにもらったキーホルダーをつけた。
カエルとカエル (椿×彩葉さん宅スィープ君)